CASE #18e-casebook LIVE|学会や教育ライブで価値提供

医師の深い学びと新しい学会の形の実現

佐藤 直樹

第28回日本心不全学会学術集会 会長 / かわぐち心臓呼吸器病院 副院長 循環器内科部長・内科統括部長

e-casebook LIVEの教育ライブ「心不全を極める」シリーズは2021年2月から開始した佐藤氏が主催するライブで、これまでに41本を配信している。また、2024年10月4日(金)から6日(日)にかけて開催される第28回日本心不全学会学術集会は、e-casebook LIVEでも学術集会参加者を対象としてリアルタイムで配信されることが決定した。さらに、会期前には、e-casebook LIVEで注目のプログラムを計4回にわたり紹介する企画も予定されている。e-casebook LIVEが学会や教育ライブでどのような価値を提供できるのか、佐藤氏に伺った。

記事公開日:2024年7月25日

e-casebook LIVEの教育ライブによる深い学びの提供

私はe-casebook LIVEで「心不全を極める」というライブシリーズを企画し、2021年2月から現在まで毎月1本のペースでライブ配信を行ってきました。このライブシリーズを通して、さまざまな講師の先生にご登壇いただき、いろいろな視点からのテーマを取り上げてきました。その結果、心不全に関わる医師だけでなく、カテーテル治療であるインターベンション、不整脈、アブレーションなど、多くの分野の先生方にも視聴していただけるようになりました。

近年、心不全患者の増加に伴い、治療薬やデバイスが次々と登場し、改めて心不全の注目度が高まっています。学会や研究会で学べる知識は豊富ですが、エキスパートの先生たちがどのようにその知識を深めてきたかを学ぶ機会はなかなかありません。そこで、各領域の専門医が集まるe-casebook LIVEプラットフォームで、エキスパートの先生方にじっくり時間をかけて話をしていただき、ディスカッションを通じて視聴者が深く学べる場を提供しています。e-casebook LIVEの視聴者は、勉強熱心な先生方が多い印象で、ライブシリーズも大変好評を得ています。

私がライブ内の登壇者として他院の先生へ講演をお願いすると、「声をかけてくれてありがとうございます」と言われることが多くなり、このシリーズの認知度が上がってきたと感じています。このライブに登壇することが一種のステータスとなっているようです。

ディスカッション重視の新しい形の学会

今年(2024年)の第28回日本心不全学会学術集会では、ディスカッションの機会の提供を重視し、従来の学会ではできなかったことを積極的に企画しています。Face to Faceで会うことで、SNSやリモートでは感じ取れない演者の先生の情熱もより伝わります。従来では演者の先生方と垣根があり、勇気を出して質問しに行くことが多かったですが、本会では自分の聞きたいことを直接質問できるように、学会全体が自由で活発にディスカッションができる雰囲気を作り出すことを目指しています。

また、本会でe-casebookチームの皆さんに学会のライブ配信に協力していただけるといことを大変嬉しく頼もしく思っており、この「自由で活発なディスカッション重視の学会」が実現できそうな感触があります。今年の参加者の皆さんに「こういう雰囲気の学会っていいね」と感じていただければ、少しずつ学会の在り方が変わっていくのではないかと期待しています。

「事前プログラム紹介」「振り返りセミナー」で学会の参加意義を高める

心不全は心臓のほぼ全ての病気に関わるため、循環器の中でも、インターベンション、不整脈、アブレーションといった各分野においても重要なテーマとなります。各分野の先生が抱く疑問を解決できるよう、本会では幅広いセッションを用意しています。

循環器の中には領域ごとの垣根がありますが、その垣根を取り払い、知識として情報を蓄えておくためには、常にアンテナを張っておく必要があります。日常診療で忙しい中、学会に参加していただきたいという思いから、新たな企画を事前に知ってもらうことで、学会に参加する意義がより高まると考えています。自分自身でどんなプログラムがあるかを確認することも可能ですが、多忙な医療従事者にはそれすら難しい場合もあります。現在はスマホやSNSの時代であり、インターネットを通じて情報を提供することで、好きな時間に簡便に情報を得ることができます。そこでe-casebook LIVEを活用して事前プログラム紹介を企画しました。事前プログラム紹介のライブ配信では、本会のセッションのうち、特に注目してほしいセッションを心不全のエキスパートとともに取り上げてご紹介させていただきます。これらをご覧いただくことで、当日はより充実した学会参加になることを期待しています。

また、学会に参加した後にセッションについてディスカッションしたい場合もあるでしょう。そのようなディスカッションこそが非常に大事です。その場ではできなかった意見交換や、未回答の部分に触れてみたいときがあります。そこで、e-casebook LIVEを活用して後夜祭のような振り返りセッションを企画する予定です。これにより、そのセッションの理解がさらに高まると考えています。内容としては、セッション参加者数や、人気セッションの内容も踏まえた振り返りを行います。また、人気のなかったセッションについても、私たちが伝えたいことが十分に伝わっていなかったということで、より興味をもってもらえるように情報提供を行います。

 

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今後e-casebook LIVEプラットフォームに期待すること

これまで述べてきたように、心不全は多岐にわたる分野に関わっています。e-casebook LIVEの「心不全を極める」シリーズでは、さまざまな分野のテーマを取り上げているので、断片的な興味だけでなく持続的にライブに参加してもらうことで、専門外の方でも深くて濃い情報を得ることができると確信しています。自分の知識の幅やスキルを向上させることで、多岐にわたる情報が必要な心不全に関して群盲像を評すことを避け、結果的には患者さんにより質の高い医療を提供できるようになります。症例検討中にe-casebook LIVEでのコメントがあったことを思い出してもらえたり、治療判断に困ったときにエキスパートの先生に声をかけてみようと思ったりしていただけたら、このシリーズ配信が大成功したと言えるでしょう。

学会の方では、専門外の先生・メディカルスタッフとのコラボレーションも積極的に推進したいと考えています。このようにして、多岐にわたる領域の知見を結集させることで、患者さんの幸福度をより高めることができると信じています。e-casebook LIVEがそのための場として機能すると、さらに価値が高まるでしょう。